“置き配”が標準化へ　国交省が検討、本格導入で再配達やドライバー負担を軽減

2025年7月1日、国土交通省は宅配便の「標準運送約款」を見直し、**“置き配”を基本仕様とする改正を検討していく方針**を明らかにしました。対面での受け取りは必要希望者向けの有料オプションに位置づけられ、再配達の大幅削減や配送スタッフの業務時間短縮を目指します。

背景には宅配業界の人手不足と再配達による無駄な時間が膨大である現状があり、消費者の利便性向上と社会コスト削減を両立する制度設計が急務となっています。

国交省は現在、宅配の再配達率を6％未満に抑える目標を掲げていますが、2025年3月時点では約8.4％と依然高い水準が続いています。

再配達の原因として最も多いのが「受取人不在」で、特に平日の日中帯に集中。結果としてドライバーは同じ顧客の玄関を何度も訪れる必要があり、全体の配送効率が10～40％低下しているとの試算も出ています。

改正内容は以下の通り：

• 標準運送サービスに「置き配」を明記、送料無料の基本受け取り方法に
• 対面受け取りを「有料オプション（追加料金）」に位置づけ
• 消費者は「置き配不可」「対面必須」と指示できる選択肢を付与
• 盗難・品質劣化対応のため、**宅配ボックス、カメラ付き表札、濡れ対策**なども推奨制度に

この仕組みの導入で、「玄関先に荷物を置いておくことが基本」となり、ドライバーが荷物を持ち続けて帰る状況は減少、再配達を誘発する原因の縮小が期待されます。

SNSや地域フォーラムでは賛否両論の声が拡散中：

「ドア前に置くだけで荷物を受け取れるのは便利！ ただしカメラ無いと不安」 ― 東京都在住 30代主婦

「雨の日や猛暑時の置き配は不安。屋根がなければ品質劣化を心配」 ― 北海道在住 50代男性

多くの声には、置き配そのものに好意的な意見がある一方で、**盗難・天候リスクへの対策が未整備では安心できない**という指摘が共通しています。

物流専門家の角井亮一氏によれば、米国や欧州ではすでに「置き配」を標準化しており、カメラ、宅配ボックス、登録QRコード、電子チャイムなどを連携したサービスが普及しています。

たとえば米国では「指定されたエリアに置く」という仕組みと、専用アプリを使った立ち会いチェックが一般化していて、安全対策と効率化を両立。日本でも参照できるモデルとして注目されます。

置き配が標準化されれば、荷物の到着時間の制約が緩和され、ドライバーの労働負担も大きく軽減。これは物流業界の構造改革に直結する一歩です。

ただし、利用者保護の観点では、**盗難対策や天候対応のインフラ整備がセットで求められます**。自治体主導での住宅への宅配ボックス補助や、通販業者によるオプション整備（カメラ設置・屋根設計）といった対応が不可欠です。

• 消費者：送料は変わらず受け取り方法の選択性が増加
• 業界：配送効率アップ・人件費削減も期待されるが初期コストは必要
• 自治体・住宅：宅配ボックス普及策、助成金制度策定が急務
• 将来展望：「AIカメラ付きドア」「スマート宅配ボックス」など技術導入へのシフト

• 置き配を標準化する方向で国交省が制度見直しを検討中
• 再配達・人手不足・配送コストの課題解決を目指す
• 住民側の安全・プライバシーリスクへの配慮が不可欠
• 自治体・業者・消費者の取り組み連携で、効率と安心の両立を図るべき